※以前国家試験に出題されたところのみを、抜粋しています。
出題項目は、赤字で記入しています。

呼吸機能検査
肺音:呼吸に伴う気道中の空気の流れに生じる音。
→①呼吸音:正常時
→②副雑音:異常時
肺音は大きく2つ(呼吸音、副雑音)に分けられ、正常呼吸音は大きく3つ、異常副雑音は大きく2つに分類されます。
①正常時 (○○呼吸音って言葉が語尾に付いたら、正常と判断してOK)
・肺胞呼吸音:低調で柔らかい音:吸気の初め
・気管気管支呼吸音:高調な音 :吸気時と呼気時の時間が同じ
・気管支肺胞呼吸音:肺胞音より高調:呼気時にも聴かれる。
②副雑音(○○呼吸音って言葉が、語尾に付かないもの。)
・連続性ラ音(乾性ラ音):気道狭窄(喘息等)
1 笛様音 (高音性):呼気時「ヒューヒュー」
2 いびき様音(低音性):吸気+呼気「ボーボー」「グーグー」
連続性ラ音の中で、吸気って出題されたら、いびき様音 に分類!
・断続性ラ音(湿性ラ音):気道内分泌(痰)
1 水泡音(粗い):吸気〜呼気相初期「ブツブツ」「ポコポコ」(低調で低い)
例:肺水腫・肺炎・気管支拡張症 等
ー捻髪音(細かい):吸気相終期「パツパツ」「パチパチ」(高調で短い)
肺胞が遅れて開くため、吸気終期となる。
例:間質性肺炎・マイコプラズマ肺炎・クラミジア肺炎
間質性肺炎:肺胞が硬くなって(繊維化)→肺胞が遅れて開きに開くため、呼吸終期に観察できる。(考え方のポイントです。)
フローボリューム曲線

・縦軸:気流速度
・横軸:肺気量
スパイログラム

・肺活量=予備吸気量+予備呼気量+1回換気量
・全肺気量=肺活量+残気量
・機能的残機量=予備呼気量+残気量
・最大吸気量=予備吸気量+1回換気量
1秒率
・全肺気量に対する1秒間に排出する排気量の割合。
・1秒率=1秒量 / 努力性肺活量 ×100
1秒量
最大吸気レベルから最大努力のもと呼息を行った時、1秒に呼出される量。
基準値
・肺活量 4000ml
・1秒量 3000ml
→ 1秒率=3000/4000 ×100 =75%
肺コンプライアンス
・肺コンプライアンスの上昇(柔らかい)= 肺気腫
・肺コンプライアンスの低下(硬い)= 肺線維症、間質性肺炎
・肺気腫:正常だった肺胞壁が壊れ、崩れた肺胞壁同士がくっつき、大きくなる。(柔らかい)
・肺線維症:肺に線維組織が過剰に形成されるもの。肺胞壁の肥厚により、ガス交換が十分に行われなくなり、呼吸機能が低下する。(硬い)
・間質性肺炎:細胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚くなるため(繊維化)、酸素を取り込みにくくなる病気です。(硬い)
換気障害の分類

閉塞性換気障害
・気道が狭くなった状態で、一気に素早く呼出ができない。
・肺コンプライアンス上昇、1秒率低下、% 肺活量正常
・慢性気管支喘息
・慢性肺気腫
・気管支喘息
・びまん性気管支炎
・気管支拡張症
気道の問題のため、疾患名に気道と入っていることが多い。(肺気腫除く)
慢性気管支喘息
病態
・気道の過敏性が亢進(発作性の呼吸困難)
・気管支平滑筋の収縮が原因で、夜間に発生することが多い。
→悪化すると、肺気腫を引き起こす。
肺気腫
病態
・息切れ・咳・痰
・進行性+不可逆性
・肺の過膨張が起き、呼気障害→胸郭拡大の樽状胸郭
・チアノーゼ(バチ指)
・CO2ナルコーシス
・40代以上の男性(喫煙者に好発)
その他
・側臥位で行うと、呼吸+血圧への影響は少ない。
・動作時の息こらえはNG
・運動時心拍数の上限は、(220 – 年齢)の60〜70%に設定。
・肺気腫患者は、呼吸にエネルギーを消費してしまい、体重が減少してしまう。しかし、食事摂取すると、腹部膨満が肺を圧迫してしまい、呼吸困難感強くなってしまう。そのため、高カロリー食品を選択。
拘束性換気障害
・肺そのものが繊維化・硬くなり、呼吸するための筋が機能しにくくなり、肺を膨らませることができない。
・肺コンプライアンス低下、1秒率正常、%肺活量低下
・間質性肺炎
・肺線維症
・医原性肺炎
・過敏性肺炎
・塵肺
肺そのものの機能低下あるため、疾患名に”肺”と入っていること多い。(肺気腫は除く)
慢性呼吸不全患者のADLにおける注意点
① 上肢挙上は片腕のみに止める。
② 呼吸コントロールを行う。
③ 動作のスピード・方法を調整。
④ 動作環境の工夫などを考慮する。
呼吸機能評価
① Hugh-Jones
息切れ・呼吸困難の程度を日常生活で分類
(Ⅰ〜Ⅴ)の5段階で評価。
Ⅰ度 健常者と同じ
Ⅱ度 健常者と同じ + 階段はキツイ
Ⅲ度 自分のペースなら歩ける(1.6㎞以上)
Ⅳ度 休みながらでないと、50m以上困難。
Ⅴ度 外出できない。 + 身の回りのことで声切れ。
② MRC息切れスケール(0~5)の6段階
Grade 0 息切れを感じない。
1 強い労作で息切れ
2 急ぎ足+緩やかな坂で息切れ
3 同年代よりゆっくり歩く+自分のペースで平地歩行してても、急速必要。
4 約100ヤード(91.4m)歩いた後休憩。
5 息切れが酷く、外出困難、衣服の着脱でも息切れあり。
呼吸機能検査
・1秒率:70%以上
・PaO2 : 80~100mmHg
・PaCO2 : 35~45mmHg
・動脈血pH:7.35~7.45
・一回換気量:約500mL
呼吸不全の分類
① PaO2 ≦ 60Torrだと呼吸不全。
そこから、
・Paco2 ≦ 45 だと、Ⅰ型の呼吸不全
・Paco2>45だと、Ⅱ型の呼吸不全

体位と呼吸困難のメカニズム
・背臥位
① 肺血流量が増加
② 腹腔内の臓器により、横隔膜が押し上げられる。→肺を圧迫
・座位
① 肺血流量が減少
② 横隔膜が下降→呼吸の仕事量が減少
呼吸リハビリテーション
① 腹式呼吸:リラクゼーション効果(呼吸補助筋を抑制する。)
② 口すぼめ呼吸:呼吸数の減少+1回換気量の増大
③ 動脈血ガス所見の改善
④ 換気血流の改善→呼気の延長(閉塞性肺疾患で効果大)
インセンティブ・スパイロメトリー(気管支洗浄化療法)
① 最大吸気持続時間の延長
適応
・開胸OPE後の無気肺予防
・拘束性換気障害
禁忌
・過換気症候群・
・閉塞性換気障害
CO2ナルコーシス
在宅酸素療法中の、頭痛・めまい・発汗・意識障害・呼吸抑制・傾眠傾向・振戦・顔面紅潮は、CO2ナルコーシスを疑う。
→PaCO2が急速に上昇すること。(症状があっても、患者の意思で酸素量を変えてはいけない、医者が変更するため。)
非侵略的陽圧換気療法(NPPV)
気道切開せずに、鼻マスク+マウスピースなどを介して、酸素を送り込む。
条件
・意識がはっきりしていること
・協力的なこと
・痰の排泄ができる。
これらの条件を全て満たす必要あり。逆にこれを満たせないと、気管切開考慮。
利点
・気管内挿管が不要
・非侵襲的である。
・意識レベル下げなくても良い。
・会話可能。
・安価で簡便。
・自分でマスクの着脱可能。
・長期で在宅人工呼吸器療法が可能。
問題点
・気管内挿入により、効果不確定。
・気道内分泌物多いと不向き。
・肺コンプライアンス低下には不向き。
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