今回は、国試範囲の『切断』についてお伝えさせて頂きます ✍️
切断の基礎〜断端管理〜義足ソケットまで書いたので、ボリューム大です。時間ないときは、目次から見るのもアリです!
また赤字の所は、過去に出題されたものですので参考になれば っ!!
では、行きますね (´∀`)↓↓
もくじ
切断の原因
最も多いのは、末梢循環障害(糖尿病・動脈硬化・バージャー病)による、高齢者の割合が増加。外傷による若年者層の切断例が減少。
欧米先進国と比べると、比較にならないほど切断患者は少ない。
肢体不自由の内訳
上肢切断:5% 上肢機能障害:25%
下肢切断:3% 下肢機能障害:36%
ちなみに上記の結果は、
切断の定義(上肢:は母指・示指含めば切断になるが、下肢は5指全て切断で切断となる)によるものと考えられる。
そのため、下肢は切断が少なく、機能障害が多い結果となるんですね。
長断端と短断端
何をもって長・短断端と分類するかは明確ではない。一般的には、大腿の長さを3等分し、それぞれを上・中・下断端とするのが一般的である。
短断端は、股関節屈筋群・伸筋・外転筋は残存。内転筋は、大部分切断されるため、筋のバランスは外転方向に強くなる。
長断端の場合は、内転筋群も残存されるため、安定性 ↑↑
長断端:断端のコントロールによる膝の安定性確保されている。→遊脚相の膝コントロール
短断端:断端のコントロールによる膝の安定性確保されていない→立脚相の安定性
しかし、若者と高齢者は、同じ装具を使うわけではなく、
高齢者には『重量が軽く、操作しやすいもの(多軸→単軸)』
syme切断(サイム切断)
部位:足関節での切断。
方法
①踵骨をとる。
②脛腓間にはめ込む。(荷重OK)
はめ込んでいるため、外見がゴツゴツしている。
→断端末端部の外観は良くない。→しかしこれはデメリットだけでなく、ソケットを懸垂しやすいというメリットあり。
また、断端長が長いため、正常に近い歩行能力を持つ。
断端管理
切断術後の切断ケアには、国試的に2つの方法があるので紹介します!
soft dressing(弾性包帯)

目的
切断縫合創の上にガーゼを当て早期から、弾性包帯を巻いて(浮腫軽減・血腫の形成予防)
利点
①断端の状態観察がしやすい。
欠点
① 切断端の疼痛・幻肢痛がかなり強い。
② 切断の不良肢位を取りやすい。
③ 断端創の治癒遅れる。
rigid dressing
目的
主として、ギプス包帯を術直後の断端に巻いてソケットを作り、断端表面と全面接地をはかるもの。
利点
① 断端の浮腫を防ぎ、創治癒促進
② 断端痛および幻肢痛が少ない。
③ 創の看護・管理がしやすい(soft dressingだと弾性包帯を交換しなきゃいけない。)
④ 早期離床可能。
欠点
① ギプスソケットの正確な適合技術・経験要求。
② 断端術後変化への対応困難。
③ 断端の状態を外側から観察することが不可能。
④ ソケット内の温度・湿度のコントロール困難。→発汗異常に対応するよう、ソケット部に通気孔があるなど工夫された義足を用いる。
soft dressingとrigid dressingに共通して言えること
① 股関節屈曲・外転・外旋拘縮を起こしやすいため、良肢位保持を指導。(比較的近位部に位置する腸腰筋・中殿筋が作用しやすく拘縮を起こしやすい。)
② 創部に伸長痛を生じた場合も安静固定はNG(拘縮の原因。)
③ 断端の複数箇所で集計を測定。
④ 断端運動を行う方が、浮腫予防になる。
大腿ソケットの種類
四辺形ソケット(=吸着式ソケット)
① 坐骨結節に体重が集中する。
② 全面接地・全面吸着
③ 内外径が長い。
坐骨収納型ソケット(=IRCソケット)
大腿骨と骨盤が固定されており、側方への安定性が高い。
① 前後径が広く、内外径が狭い。→会陰部の疼痛が少ない。
② 側方安定性向上。
③ 断端・坐骨結節への疼痛↓
④ 断端全体で体重を支持する。
股義足
股義足が適応となる断端は、下肢切断の中で最も多い。
大腿義足と異なり膝の安定性を保つための股関節伸展筋もない。
歩行では、股・膝・足と3つの継手をコントロール=適合の良いソケットが大切。
股義足の範囲では、カナダ式股義足について知っておこう!
カナダ式股義足
懸垂部位:両側腸骨稜
体重支持:坐骨結節および周囲の軟部組織で覆う。義足の適合判定
股義足のアライメント

ソケット底面の前後径の中心点から下ろした垂線は、
①膝継手軸の10~15㎝前方 ②踵とトゥーブレークとの中心を通る。
②股継手と膝継手を結んだ線は、
踵の後方25~40mmを通る。
股継手の位置
正常の股関節より45°前下方に位置する。
→こうすることにより、立位時に義足にまっすぐ荷重するだけで、股継手が伸展する方向へ力が加わり、安定性が得られる。
膝継手の位置
大腿切断では、健側膝関節裂隙+20mmなのに対し、
カナダ式股義足では、健側膝関節裂隙+30mmがポイント!!
下腿ソケットの種類
PTBソケット
体重支持部:主に膝蓋腱部(PTBのPはパティラ、Tはテンドン(腱で、合わせて膝蓋腱)
除圧部位:腓骨頭・脛骨粗面・脛骨稜・ハムストの走行部
懸垂:カフベルトが必要(自己懸垂機能なし)
前壁の高さ:膝蓋骨中央(中央ってところまで理解)
内外側屈筋チャネル:内側を低く。(これは、大腿二頭筋腱(腓骨頭)より、半腱様筋腱の停止(鵞足)の方停止が下方へあるため。
初期内転角:5°、初期屈曲角度:5°(長断端・短断端により、異なる。)
KBMソケット
懸垂:ソケットで懸垂(カフベルトなし)
特徴
① 膝蓋骨部にソケットなし。
② 膝関節側方動揺なく安定。
③ 膝関節過伸展の保護作用なし。(膝関節を覆っていないから。)
PTSソケット
懸垂:ソケットで懸垂(カフベルトなし)
特徴
① 前面は、膝蓋骨を覆う。
② 膝関節側方安定あり。(膝蓋骨や大腿骨顆部にまで広く覆うため。)
③ 膝関節過伸展に有用。
TSBソケット
懸垂:キャッチピンとラチェット式ロック装置(カフベルトなし)
特徴
全表面支持(断端部全体をソケットに密着)→断端全体で体重支持。
内ソケットにシリコンライナーを使用。(シリコンは吸水性が低いため、発汗作用困難。)
→皮膚刺激性が少ない。着脱容易(PTBと比べて)、発汗対応が困難。
在来型ソケット
特徴
・大腿部コルセット併用。(ソケットに懸垂作用なし)
・差し込み式のもの(全面接触型のものではない。)
・適合具合は、断端袋の枚数調整。
切断後の良肢位
① 股関節屈曲・外転・外旋位以外になっていること。
② 膝関節は伸展位になっていること。
リハビリの注意点
① 義足を使用してのリハ1日目は、断端の状態良好でも、平行棒内訓練のみとする。
② 運動前にストレッチを行う場合は、股・膝関節屈曲拘縮を伴いやすいため、伸展ストレッチを行うべき。
以上となります (´∀`)
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